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  日時: 2007年7月7日(土)10:30~17:00
  場所: (財)名古屋都市センター 大研修室
     〒460-0023 名古屋市中区金山町1丁目1-1 金山南ビル11階

テーマ:現代都市研究の諸課題
(日本都市地理学会、経済地理学会中部支部と共催)


① エスニック (座長:大西宏治(富山大学))
 外国人の流入に伴う地域社会の変容-静岡県浜松市の事例から-
 片岡博美(近畿大学)
 植民地台北におけるエスニック関係と居住分化
 葉 倩瑋(茨城大学)

② 廃 棄 物 (座長:安積紀雄(名古屋産業大学))
 都市におけるごみ排出の時間変動―大阪市の事例分析とその研究課題―
 波江彰彦(大阪大学・院生、日本学術振興会特別研究員)
 東京大都市圏における産業廃棄物の堆肥化とその活用システム
 佐々木緑(広島修道大学)

③ 地価変動 (座長:山下宗利(佐賀大学))
 日本の三大都市圏における駅の乗降者数と駅前地価の分布に関する分析
 香川雄一(滋賀県立大学)
 居住地選択の二分化が地価変動現象に及ぼす影響
 山田浩久(山形大学)

④総合討論 (座長:阿部和俊(愛知教育大学))



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外国人の流入に伴う地域社会の変容-静岡県浜松市の事例から-
片岡博美(近畿大学)

 1990年の「出入国管理及び難民認定法」の改正により、わが国ではブラジル出身の日系人及びその家族が増加した。中でも、市域及び周辺市町村に大手輸送用機器メーカーやその下請会社などが多く立地する静岡県浜松市では、製造業関連への就業機会の多さから、多くのブラジル出身者が流入することとなった。入管法改正直後のブラジル人の居住形態は「単身出稼ぎ」という形態が多くみられた。しかし、滞在の長期化や「家族滞在」という滞在形態の増加から、現在では「出稼ぎ者」よりも「生活者」としての存在が色濃くなっている。
 浜松市ではブラジル人の増加に伴い、行政や日本人市民団体・NPO、そして自治会などによるブラジル人に対する様々な制度やサービスが拡充されてきた。しかし、依然としてこれら諸サービスあるいは施策の有効性は低く、今後の大きな課題として、ブラジル人への情報伝達経路の確保及び再構築があげられる。
 また、ブラジル人と地域日本人住民との接触・交流機会の創出も大きな課題である。今回のブラジル人の流入は、斡旋業者が介在する「市場媒介型移動」者が多く、定住化が進行しているとはいえ、生活活動空間から見ても、その日常生活は集団内での完結性がかなり高い。しかも、労働力の補完という地域に大きく貢献している側面は、受入先地域住民の日常生活の中では可視化されにくい。このような接触・交流、そして地域におけるメリットとしての存在がみえないままでのエスニック集団の流入とその定住化は、地域住民の間に摩擦や不安という否定的側面のみが強調され映し出され、ひいては偏見や差別という非常に深刻な事態を引き起こすこともある。
 わが国の外国人労働者に関する施策や法律を見ると、どちらかといえば出入国をベースとしたいわば「フロー」の部分に焦点を当てた施策が多いことに気づく。しかし、都市や地域という側面から外国人労働者を見ると、それら施策により増加する外国人は、定住化するケース、すなわち地域の「ストック」となっていくケースが多い。そのため、地域では様々な軋轢-例えば生活文化の相違による摩擦や、外国人に対する情報伝達の不徹底やそれに伴う混乱など、様々な軋轢や相互の対立が生みだされてしまうのが現状である。しかし、もしそこで、外国人労働者のストックとしての側面にも考慮した、日本人と外国人相互の理解を深めるための諸施策や外国人労働者への情報伝達経路の確保ほか生活に関する様々な法的整備等の対策が講じられるならば、外国人労働者は地域のリソースとして、重要なストックとなり得る。そして、リソースとしての外国人という視点は、地域住民と外国人労働者との間に「相互協力」あるいは「相互寄生」といった認識を生み出し、不必要な差別や偏見などは解消される。そのような点からも、外国人労働力の受入に当たっては、フローの局面だけでなく、ストックの部分を見越した諸施策の構築が不可欠である。

植民地台北におけるエスニック関係と居住分化
葉 倩瑋(茨城大学

 植民地都市の社会空間における最も顕著な特徴は、支配者と被支配者のエスニック関係の空間的反映である。植民地都市とは、「地理的かつ歴史的に相異なる人々が接触する‘コンタクト・ゾーン’」(Pratt, 1992)であった。その結果、植民地空間には必然的に居住分化がみられた。
 1895年に日本の植民地となった台湾は、主に17世紀後半からの中国大陸からの移民によって形成された地域であったが、これらの大陸からの移民が同郷者同士で集住し、出身地別によるセグリゲーションがみられた。植民地都市台北においては、先に移住した福建省泉州出身者と後から移住してきた福建省漳州出身者とは明確にその居住地空間が分離していた。すでに居住分化がみられた都市空間へ日本が支配者として入ってくることになったのである。
 植民地都市は、権力のコンテイナーとして支配者の政治的経済的中枢として機能したが、その都市景観は権力関係を反映したものであった。すなわち支配者と被支配者との都市形成原理のせめぎあいの結果、植民地都市景観が形成されたのである。しかし、日本の植民地政策においては「居住地分離」が制度化されていたわけではなかった。すでに都市化が進展していた台北においては日本人が居住可能な地域は限定されていたため、日本人は台湾人が居住していない区域に居住するしかなく、結果的には支配者と被支配者の間で顕著な居住分化がみられことになった。
 日本の植民地都市政策は、統治初期(1895~1920)においては、インフラストラクチャーの整備がその主眼となった。衛生環境の改善や街路網の建設、街並み景観の統一などである。続いて同化政策期における都市政策は、急速な都市化に対応するための道路網の拡張のほか、都市美化が推進された。これは法定都市計画による公園システムの導入である。これにより台湾の市域の10%に公園用地が設定されることになった。同化政策の下で、植民地政府は日本内地同様の近代的な都市空間の形成を目指した。近代的都市計画事業の結果、台北には日本より先進的な「近代的」都市空間が形成された。しかしそれは日本人居住区に限定されたものであり、台湾人居住区において近代的都市計画が実施されることはなかった。そのため公園が一つも設置されず、街路も狭く複雑なままに残され、日本人居住区との景観的・機能的差異が顕著にみられることになった。日本植民地政府は植民地都市形成において、「同化」を目指しながら「差異化」を実践し、それが居住分化を促すこととなったのである。
Pratt,M.L., Imperial Eyes: Travel Writing and Transculturation, Routledge, 1992

都市におけるごみ排出の時間変動―大阪市の事例分析とその研究課題―
波江彰彦(大阪大学・院生、日本学術振興会特別研究員)

 ごみの排出はさまざまな経済的・社会的・地域的状況の影響を受けて規定され、こうした関係は時間の経過とともに変動すると考えられる。本発表では、大阪市を事例に、①ごみ排出量の推移と生産・消費などを表す経済指標との関係の分析、②PLS回帰とクラスタ分析を用いた1人当たり家庭系ごみ排出量の地域差とその時間変動の分析、③ごみ組成の推移の分析、を通じてごみ排出の時間変動について検討し、また、今後の研究課題について整理した。以下にその概要を示す。
 家庭系ごみ排出量の増減は2年遅れの大阪市経済成長率と、事業系ごみ排出量の増減は1年遅れの大阪市経済成長率と高い相関がみられる。また、家庭系ごみ増減率は1年遅れの全世帯消費支出増減率とも高い相関がみられる。このことから、生産・消費動向がやや遅れてごみの排出に波及していることが示唆される。さらに、事業系ごみ増減率は民営事業所数の推移との高い相関もみられ、特に建設業、製造業、卸売業、不動産業の事業所の増減との相関が高い。
 1人当たり家庭系ごみ排出量は都心地域で非常に多い。その主な原因として、事業所の集積と膨大な昼間人口の流入による活発な業務・消費活動が誘発する、事業系ごみの家庭系ごみ収集への混入が考えられる。しかし近年は、事業所数の減少と夜間人口の回復が原因と思われる1人当たり家庭系ごみ排出量の減少がみられる。これに対し、都心周辺地域では一貫して1人当たり家庭系ごみ排出量が少ない。この原因としては、(1)商業地区が広がるこの地域に多く居住する単身者やグレーカラー職種従事者が外食などに依存することによる家庭系ごみ(台所ごみ)の少なさ、(2)この地域に多い高層マンションから排出される家庭系ごみは衛生管理や利便性を理由として契約業者によって有料収集されがちであり、これらは統計上事業系ごみとして取り扱われること、の2点が考えられる。そして、住宅地域では、1人当たり家庭系ごみ排出量の顕著な増加傾向がみられる。世帯規模の縮小による消費・廃棄様式の変化がその一因だと推察される。こうしたごみ排出に関する地域類型パターンは、1980年度から1995年度までは類似しているが、2000年度になると、都心地域におけるごみ排出の減少などを要因として変化がみられる。さらに、2005年度の1人当たり家庭系ごみ排出量の分布をみると、都心地域における大幅な減少が認められるなど、ごみ排出構造のさらなる変化が想起される。
 ごみ組成の推移からは、1980年度後半からのオフィスOA化の進展に伴う1人当たり紙・板紙消費量の増加と古紙リサイクルの低迷、容器包装の素材転換などとの関連がみいだされる。
 今後の研究課題としては、家庭系ごみ排出構造の動態的分析や、産業別・地域別の事業系ごみ排出動向の把握、ごみ組成と生産・消費動向との関係の解明などが挙げられる。そして、こうした研究課題への取り組みを通じて、生産・消費との関係も包括したごみ排出構造の動態的モデルを明らかにしていきたい。

東京大都市圏における産業廃棄物の堆肥化とその活用システム
佐々木緑(広島修道大学)

 日本における廃棄物の発生は、最終処分場の不足や不法投棄などの問題を引き起こしており、これらを解消するために廃棄物排出の最小化や排出物の再利用が図られている。既存文献においては、廃棄物活用の主な問題点として技術的な問題以外に、以下の3点が指摘されている。第一に廃棄物の排出側と廃棄物を利用する側が偏在しており、そのニーズも偏っていること、第二にコスト、質、量の点で継続した再資源化を行うことが容易でないこと、そして第三に廃棄物の流通に関する情報開示が少ない点である。本発表では、これらの3つの問題点を鑑み、廃棄物の排出側と利用側の相互関連と立地に着目し、円滑に廃棄物リサイクルが行われている事例から抽出した大都市圏における廃棄物活用システムの成立基盤について報告した。本報告では、廃棄物の排出者として清涼飲料水メーカー、その廃棄物を運搬処理する産業廃棄物業者、再資源化された製品を利用する非営利の農家組織における廃棄物活用の事例を紹介した。
 2001年の廃棄物処理法の改正以降、年間100t以上の廃棄物を排出する製造業者は、廃棄物処理の自己責任化が義務付けられた。これにより、各工場における廃棄物の再資源化が促進するとともに、産業廃棄物業者の需要が増加した。廃棄物の流通においては、産業廃棄物業者が廃棄物の運搬から処理、製品化、販売に至る再資源化に関わる一連の過程を担っており、廃棄物の排出者と利用者を結びつけるという点においても、産業廃棄物業者が廃棄物の再資源化に果たす役割が大きい。産業廃棄物業者は、独自のネットワークによって運搬業者、処理業者ともに系列化されており、仕事分担の棲み分けがされている。
 廃棄物の流通でみられたように、廃棄物の再資源化に関わるアクターの取引関係は、排出者と産業廃棄物業者、産業廃棄物業者と利用者という産業廃棄物業者を中心とした二者間関係で示すことができる。その中で、廃棄物の活用システムを成立させるためには、各アクターの経営上の不利を補うような財やサービスの取引が求められている。また、立地という観点においては、大量に廃棄物を排出する工場の集積、同地域内に堆肥を大量に必要とする農家の存在が、廃棄物の活用システムを成立させる基盤となっている。両者のパイプ役である産業廃棄物業者は、従来、排出者の立地に規定されていたが、現在では堆肥保管場所の確保や近年の臭気公害への規制のために、必ずしも輸送費指向の立地をしないことが明らかとなった。

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日本の三大都市圏における駅の乗降者数と駅前地価の分布に関する分析
香川雄一(滋賀県立大学)

 大都市圏における人間活動を分析するに当たって、駅の乗降者数は実態としての人々の移動を計測し、地価は大都市圏内部における相対的な位置評価を示す。本発表では各種統計資料によって得られた大都市圏の中心部から周辺部にいたるまでのデータを、GISを用いることによって分布図として表現し、各種データ間の相関を計りつつ、日本の三大都市圏における構造的特徴とそこに影響する自然地理学的要因を分析した。
 大都市における内部構造の空間的問題に関して、Burgessの同心円モデルやAlonsoの土地市場の理論によって中心からの距離と分布の特徴が示されてきた。鉄道の駅を単位として大都市圏内の人口流動の分布を示すことによって、常住地人口とは異なる視点を用いることが可能となり、駅の位置特性を利用者数、地価さらには標高や傾斜といった指標からも理解することできる。
 東京大都市圏と京阪神大都市圏における駅の乗降者数は、㈱エンタテインメントビジネス総合研究所編『東京大都市圏京阪神圏 駅別乗降者数総覧'05』を用いて、それぞれ1558駅と1108駅を対象とした。名古屋大都市圏は愛知、岐阜、三重、滋賀各県の統計書から得られる範囲に限って駅別乗降者数を入力したため、実際の対象範囲と比べるとやや少ない634駅を対象とした。地価は国税庁HPによる路線価から地図によって駅前の価格を判断し入力した。ただし周囲に路線価のない駅もあるので、乗降者数と比べると対象駅数は少なくなった。
 大都市圏全体、50km圏、20km圏と分布図を表示していくことによって、駅別乗降者数と駅前地価は中心部から周辺部へかけて距離逓減的に広がっていることが改めてわかった。両者を比べると地価のほうが、距離による減衰度が著しい。また都市構造の特徴として郊外部における核となる駅の存在も認められた。乗降者数と地価を散布図に表現してみると、偏差の大きな駅がいくつかみられた。これは都心部で地価が高いにもかかわらず比較的乗降者数が少ない地下鉄の駅や、空港や埋立地に立地する駅は乗降者の多さと比較して地価が低いという特徴のためである。
 GISの機能により駅から半径2kmのバッファを設定し、1k㎡メッシュ人口と重ねあわせてバッファ人口を計算した。各大都市圏において都心部と周縁部で乗降者数と人口の乖離が目立った。これは昼夜間人口の差であるところの都心部における過少な人口と多大な駅乗降者数という側面と、鉄道駅が郊外に位置していてしかもローカル線の場合は鉄道を利用せずに車による移動が選択されているからだと考えられる。
 また、鉄道路線の敷設の有無の影響もあるが、距離帯によって分布に空白部分が見られた。これには大都市圏の人口分布における地形的要因も加味されなければならない。DEMデータによって標高や傾斜を乗降者数や地価の分布と重ね合わせてみると、東京では東部、京阪神では北部、名古屋では西部で空白部分が存在するという、地形的特徴による分布パターンの差異が見られた。地図や空中写真を見ても理解できることであるが、東京の東部は人口密集地である一方で利根川や荒川の水系による広大な湿地も広がっている。京阪神の北部には六甲や箕面の山地が立ちふさがっている。名古屋の西部には木曽三川による湿地が存在する。名古屋駅を中心に東西方向を比較した場合、東部は乗降者数が多く、地価が高いのに対して西部はバッファ人口が多かった。古典的研究を引用するまでもなく、都市機能の分布が今回の研究で用いたデータにも影響していることを再確認できた。
 今後は収束へと向かうかもしれない大都市圏の変化を考えつつ、乗降者数の増減による通勤・通学範囲の変化や地価の変動に見られる格差拡大の解釈についても本研究を応用していく必要がある。

居住地選択の二分化が地価変動現象に及ぼす影響
山田浩久(山形大学)

 人の土地に対するはたらきかけの結果として現れる土地利用と土地の価値に対する総合的な指標である地価との間には相互規定的な関係がある。また、地価は普遍的なメカニズムによって変動するのではなく、それ自体が都市の成長段階に対応してダイナミックに変化していくメカニズムによって変動する。これらのことを考え併せると、地価変動メカニズムの転換期には、土地利用と地価との関係が大きく変化するといえる。そのため、地価変動メカニズムの転換を早期に指摘し、土地利用と地価との関係の変化を解明する研究は、都市の空間的構造変容や地価変動を予測するうえでも有効な研究であると思われる。
 近年、大都市圏域を中心に地価の上昇傾向が観察されており、地価は変動メカニズムの転換期を迎えているといってよい。なかでも、東京大都市圏の地価変動は、バブル期以降、全国的な地価変動現象に先行する傾向があり、同大都市圏域を対象とする研究は、全国の地価動向を予測するうえでも重要な意味を持つ。そこで、本研究では、東京大都市圏を事例に、近年の地価上昇を都心および都心近接部のマンション立地と居住地選択の変化から明らかにし、同大都市圏域における地価変動現象の今後を予測した。
 分析の結果、東京大都市圏全体の居住地選択は、都心および都心近接部に立地するマンションへの指向と郊外に立地する戸建住宅への指向に二分化しており、それぞれ商業系用途地域の土地と住宅系用途地域の土地の地価上昇をもたらしたことが明らかになった。また、都心および都心近接部に立地するマンションは、都心部の高単価大面積の高額マンションとその周辺に立地する高単価小面積の投資用マンション、さらにその外側に立地する低単価大面積の一般所得者向けマンションに類別され、求心的指向がマンションの立地場所や価格帯によって細分化される傾向にあることが分かった。マンションの都心集積は、バブル崩壊後の地価下落によって、開発業者の用地取得が容易になったことに起因することはすでに明らかにされている。しかし、近年においては、多様化した指向に対応するためのマンション開発と価格設定が地価の局地的な上昇を引き起こしており、土地利用と地価との相互規定的な関係が逆転していることが指摘できる。このような地価の局地的上昇は、圏域全体の面的な地価上昇にまで発展しつつあり、今後はマンション以外の都市施設配置も地価形成に影響を及ぼしていくものと考えられる。

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総 合 討 論

エスニック報告に関連して(A:質疑、Q:応答)
Q1:片岡報告について、外国人の流入による社会変化は、人種やエスニックによって異なるのか?
A1(片岡):ブラジル人の場合は長く滞在するケースが多いので、社会を変容させることもあると思う。
Q2:両報告について、浜松と台北のケースで、差別される人が生じているが、空間構造的にどうか?
A2(片岡):浜松のブラジル人はセグリゲートされてはいないので、空間的には見えにくいが、最近は公営住宅に入居する人が増えているので、今後は変わる可能性もある。
A2(葉):台北では、時代も違うが、同化政策が進むなかで台湾人はセグリゲートされることで独自の文化を守ってきた。
Q3:浜松でブラジル人が集住していないのは、日系人であることも関係しているのではないか?また、市が公営住宅を斡旋して集めようとする動きはあるのか?
A3(片岡):市民の対応は怖がる人と友好的な人に分かれる。また、今後もセグリゲートされるようなことにはならないと思う。
Q4:葉報告について、台湾ではセグリゲートする働きかけはあったのか?
A4(葉):台北では、植民地後期に日本人との混住もみられたが、特に働きかけがあったわけではない。
Q5:片岡報告について、日系ブラジル人は本当に外国人なのか?
A5(片岡): 私も日系ブラジル人を全くのエスニック集団とは思っていない。ブラジルでは日本人と言われ、日本ではブラジル人と言われ、彼らは混乱しているし、そのエスニック・アイデンティティは複雑だと思う。なお、永住に対する考えは多様である。

廃棄物報告に関連して
Q1:波江報告では、なぜ主成分回帰ではなくPLS回帰を用いたのか?総量ではなく1人当たりの量で分析したのはなぜか?また、家庭系ごみ、事業系ごみに分ける意味がないのではないか?ごみは排出より処理に関する分析が大切なのでは?
A1(波江):PLS回帰の方が一般にモデルの説明力が高い。1人当たりと総量の両面の分析が必要で、今回は地域性などと関連させた詳細な分析を目的としている。確かにごみを区別する意味はあまり大きくないかもしれない。事業系ごみは地区別のデータがないこともあり、今回は主に家庭系ごみについて分析した。発生抑制が重視されるようになってきており、ごみ処理政策に寄与するためにも、ごみ排出のメカニズムの分析は必要と考える。
Q2:大阪市では、廃棄物処理の法改正で市の対応はどう変わったか?
A2(波江):1992年から資源ごみの分別を始めたが、リサイクル率は近年も3%程度と低い。事業系については、1993年から多量排出事業者への規制強化などの対策を実施している。
Q3:佐々木報告について、2001年以降の傾向としてこの産業廃棄物堆肥化のシステムはうまくいっているのか?また、遠距離の物流が行われているが、コスト的にはどうなのか?
A3(佐々木):都市内部の農産物需要は増えているので、堆肥の必要量は減っていない。物流コストの負担は大きく、産廃業者にとってはきついが、その範囲は約150kmと広域化している。
Q4::滋賀県では運搬業者が増え、処理業者が減っているが、関東ではどうか?
A4(佐々木):今回報告した三浦半島の事例では、農家の専業化率が高まっている特殊な地域なので需要はあるが、他の地域では需要は減っている。

地価変動報告に関連して
Q1:香川報告について、駅の乗降者数は都心と郊外ではその意味合いが違うのではないか?また、バッファ人口2kmというのは、郊外では狭くないか?
A1(香川):駅の乗降者数の大小がもつ意味は、都心と郊外でも変わらないと考える。また、バッファ人口については、郊外については配慮が必要かも知れない。
Q2:地価は路線価を用いているが、商業地と住宅地では異なるので公示地価などの方が良いのではないか?また、駅の属性も考慮した分析が必要なのではないか?
A2(香川):データの得られないところもあり、統一して路線価を用いた。ターミナルなどについては、属性を考慮する必要があるかも知れない。
Q3:山田報告について、マンションの多様化は近年の所得格差の拡大が背景にあるのではないのか?
A3(山田):詳しいデータを持ち合わせていないが、かつてから所得格差はあったので,それだけが近年の変化をもたらした要因ではないと考える。
Q4:マンションは売れているのか?
A4(山田):高額なものでも即日完売することがあるほど,好調な売行きを示している。
Q5:名古屋圏でも駅の直近にマンションが建ったりしているが、今後駅を中心に地域が変化していくということはあるか?
A5(山田):駅に限らず、土地に対する評価が変わってきていると思う。駅の機能や必要性によって異なると思う。土地の評価も時代によってやはり変わっている。

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 今回は、他学会との共催ということもあり、1日を費やして6本の報告が行われた。これまでの都市圏研究部会ではあまり取り上げられることのなかったエスニックや廃棄物に関する報告・討論を得たことは、都市研究の課題がまだ多く残されていることを意味し、大変有意義であった。また、関西圏で開催されることが多い本部会が近年成長の著しい名古屋市で行われたことは、多くの参加者を集め、活発な交流ができたことと併せて、その準備などにご尽力頂いた地元関係者の方々に厚く御礼申し上げたい。

司会・進行: 伊藤 悟(金沢大学)
記録: 山下博樹(鳥取大学)
参加者数: 62名

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2007.07.10 
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